※神社本庁の神社振興対策指定神社、日本海を守る霊場
鎮座地 島根県隠岐郡海士町宇受賀
御祭神 宇受賀命(うづかみこと)
例祭日 7月11日
由 緒
現存する最古の神社名簿「延喜式」の中で、最高位の名神大社に位置付けられています。島根県の六社(出雲大社、熊野大社、水若酢神社、伊勢命神社、由良比女神社そして宇受賀命神社)の内の一社。
古来、朝廷の崇敬が篤かったといわれており、時々の有力者より社領や神田など幾多の寄進がありました。現在の本殿も隠岐神社を上回る大きさであり、隠岐の海の波音がもっともよく聞こえる位置に境内があります。
島内の伝説には、西ノ島の神社の神さま 比奈麻治比賣命(ひなまちひめのみこと)の美しさにひかれた宇受賀命は、同じく姫に求婚する大山神社の神さまとの力比べに勝利したことにより、姫と結ばれたとあります。そして、この姫との間に御子神 柳井姫(やないひめ)、その御子神は同じ島の豊田地区(とよだちく)にある奈伎良比賣神社(なぎらひめじんじゃ)の御祭神になったとされています。この御子神をお産みになったのは明屋海岸(あきやかいがん)という絶景の場所で、お産が明けたという意味の地名です。明屋海岸から宇受賀命神社にいたる海岸線の道路は、日本海唯一の神々の婚姻に由来するもので、縁結び、子宝、夫婦円満のご利益のある道とされます。
神社の本殿は、もともと島前湾の海の入り口を見下ろす位置にあったと言われています。隠岐は昔から国境の諸島でもあります。そのため、大陸の海賊の脅威に度々さらされていたようです。湾の入り口にある宇受賀命神社、隣島の比奈麻治比賣神社、御子神の奈伎良比賣神社は直線状に鎮座しており、その隠岐随一の御神徳で島々を守っていたと考えられます。こうしたことが朝廷からの崇敬にも結びついているのでしょう。
また、この神社には島内でもっとも古い社家が代々奉仕しております。そのはじめは、千年以上前の神社の創建当時にあるとも言われています。
今は島内の宇受賀地区(うずかちく)の氏神さまですが、このような伝説、累代の社家のもあることから、神社・神道に詳しい方は特に宇受賀命神社に参拝されます。宇受賀命神社と隠岐神社の両方にお参りすることによって、願い事がかなうとの信仰もあります。
なお、特殊神事として、歳旦祭(元旦のお祭り)の中で行はれる「あご石神事」があります。飛魚(あご)に見立てた石を「あご石」を称し、歳旦祭の際に本殿下に納めます。そして翌年の歳旦祭で、新しいあご石を納め、前年のあご石を取り出して、海の方角に向かって「大漁、大漁、大漁」(だいりょう)の掛け声とともに投げるものです。国内には類似の神事はなく、その本義は定かではありませんが、歳の初めに豊漁と豊作を祈る予祝行事と思われています。(海士町広報の平成23年1月号の「ふるさと講座」に詳細)
現在の社殿は、火災により大正6年に再建されたもので、本殿を高台に置く隠岐造。
家内安全の神、領土・領海防衛の神、縁結びの神、安産の神、として郡内最大の信仰を集めています。
なお、祈願、朱印については、現在は隠岐神社にて受付ております。